商売を続けることの難しさを、改めて感じた

食料品の消費税が1%になるというニュース

最近、食料品の消費税を1%に引き下げるというニュースを目にしました。

物価が上がり続けている今、消費者としてはありがたい話です。

スーパーに行くたびに、以前より高くなった商品を見て、ため息が出ることもあります。

食料品は毎日の生活に欠かせないものですから、少しでも負担が軽くなるなら助かります。

ところが、ニュースを詳しく見ていると、気になることがありました。

「これ、飲食店を経営している人はどうなるんだろう?」

今回の方針では、食料品の消費税を現在の8%から1%に引き下げる一方、飲食店で食べる料理には引き続き10%の税率が適用される見込みです。

つまり、スーパーで買う食品や持ち帰りの弁当と、お店で食べる料理との税率の差が、今より大きくなるということです。

もちろん、制度はまだ法案の成立前で、今後変わる可能性があります。

それでも、飲食店を経営している方にとっては、気になるニュースではないでしょうか。

消費者としてはうれしい。でも、お店の立場だったら?

私も外食は好きです。

おいしい料理を食べたり、ちょっと気分転換をしたり。

たまには家で食べるのとは違う時間を楽しみたいと思います。

でも、最近は外食の値段も上がりました。

以前なら気軽に入れたお店でも、メニューを見て「結構するなぁ」と感じることがあります。

だからといって、お店が必要以上に高い値段をつけているとは思いません。

食材も高い。

電気代やガス代もかかる。

従業員がいれば人件費も必要です。

お店を借りていれば家賃だってあります。

お客さんとして見ていると、つい料理の値段ばかり気になります。

でも、お店を経営する側から見れば、その一皿の向こうに、たくさんの経費や苦労があるんですよね。

そんなことを考えていたら、50歳で会社を辞めた頃の自分を思い出しました。

50歳で独立して、初めて分かったこと

私は50歳で大手企業を退職しました。

それまで長く会社員として働いてきましたが、自分の力で仕事をしてみたいという思いがあり、独立に挑戦しました。

ところが、現実は思っていたほど甘くありませんでした。

思うように仕事が取れず、収入がなくなり、貯金も底をついてしまいました。

一日キャベツ半分で生活していた時期もあります。

今ではこうして話せますが、当時は本当に厳しかったです。

会社員の頃は、毎月決まった日に給料が振り込まれることが当たり前でした。

もちろん、会社員には会社員の苦労があります。

仕事の責任もありますし、人間関係に悩むこともあります。

ただ、独立して初めて気づいたことがありました。

売上がなければ、収入もない。

当たり前のことですが、それを頭で理解するのと、実際に経験するのとでは、まったく違いました。

自分なりに頑張っているつもりでも、結果が出ない。

時間だけが過ぎていく。

将来のお金が心配になり、気持ちにも余裕がなくなっていく。

あの頃のことは、今でも忘れられません。

もちろん、僕は飲食店を経営した経験がありません。

だから、飲食店の経営者の気持ちをすべて理解できるとは思っていません。

ただ、自分で商売をすることの難しさについては、少しだけ身にしみています。


「頑張れば何とかなる」と簡単には言えない。

独立する前の僕は、どこかで「頑張れば何とかなる」と考えていた気がします。

会社員として長く働いてきた経験もある。

自分なりに仕事も覚えてきた。

だから、独立しても何とかやっていけるだろう。

そんな思いがあったのかもしれません。

でも、実際に商売を始めると、自分の努力だけではどうにもならないことがありました。

お客さんが来てくれるかどうか。

仕事を依頼してもらえるかどうか。

世の中の景気がどう動くか。

そして、今回のような税金や制度の変更。

自分では決められないことが、仕事や収入に大きく影響する場合があります。

だからこそ、今回のニュースを見て、飲食店の経営者の方々のことが気になりました。

「値段を下げればいい」

「もっと工夫すればいい」

そんなことは、外からなら簡単に言えるかもしれません。

でも、実際にお店を経営している方は、すでにいろいろな工夫をされているはずです。

仕入れ先を見直したり、メニューを考えたり、営業時間を調整したり。

お客さんに来てもらうために、毎日頭を悩ませている方もいるでしょう。

それでも、簡単には解決できないことがある。

自分も独立に失敗した経験があるからこそ、軽々しくアドバイスする気にはなれません。

50代、60代で商売を続けるということ

今回のニュースを見ながら、もう一つ考えたことがあります。

それは、50代・60代で自営業を続けている方々のことです。

若い頃からお店を経営してきた人。

会社を辞めて、50代から独立した人。

親から受け継いだ商売を守っている人。

それぞれ事情は違うと思います。

でも、年齢を重ねてからの商売には、若い頃とは違う悩みもあるのではないでしょうか。

体力のこと。

健康のこと。

家族のこと。

そして、これから先、何歳まで働けるのかということ。

私も58歳になり、以前より健康や将来のことを考えるようになりました。

50代になると、何か新しいことを始めるにも、若い頃のように勢いだけでは決められません。

失敗したときのことも考えます。

生活費も必要です。

家族がいれば、自分一人の問題ではありません。

そんな中で、毎日お店を開け、お客さんを迎え、商売を続けている。

当たり前のように見えて、決して当たり前ではないと思います。

もちろん、経営が順調な方もいれば、厳しい状況にある方もいるでしょう。

自営業だから大変、会社員だから安心、という単純な話でもありません。

それでも、自分で商売をしている方の話を聞くと、以前よりその言葉の重みを感じるようになりました。
 

安いことだけが、ありがたいことなのだろうか

消費税が下がることについては、さまざまな意見があると思います。

家計の負担が軽くなることを歓迎する人もいるでしょう。

一方で、業種によっては影響を心配する声もあります。

私自身、消費者としては食料品が安くなればうれしいです。

その気持ちは正直なところです。

ただ、最近は少し違うことも考えるようになりました。

例えば、近所の飲食店。

何年も営業していて、いつ行っても変わらない味を出してくれるお店。

店主の方が一人で切り盛りしている小さなお店。

そういう場所があることも、僕たちの生活の豊かさの一つではないでしょうか。

もちろん、だからといって、無理をして外食する必要はありません。

家計には家計の事情があります。

ただ、値段だけでは分からない価値もあるんだろうなと思います。

料理を作ってくれる人がいる。

お店を掃除して、準備して、お客さんを迎えてくれる人がいる。

そんな当たり前の風景も、誰かが商売を続けてくれているから成り立っているんですよね。
 

58歳になって、ニュースの見方が少し変わった

若い頃の私は、ニュースを見ても、自分にとって得なのか損なのかを先に考えていたような気がします。

税金が下がればうれしい。

物価が上がれば困る。

それは今でも変わりません。

でも、50歳で独立し、失敗を経験してから、少し見方が変わりました。

一つの出来事にも、いろいろな立場の人がいる。

誰かにとってありがたい変化が、別の誰かには悩みの種になることもある。

今回の食料品の消費税1%というニュースも、そんなことを考えるきっかけになりました。

僕には、税金の制度をどうするのが一番いいのか、簡単に答えを出すことはできません。

それに、制度が実際に始まったとき、飲食店にどのくらい影響が出るのかも、今の段階では分かりません。

ただ、ニュースの見出しだけを見て、良いとか悪いとか決めつけたくはないと思いました。

58歳。

私もまだまだ知らないことばかりです。

そして、50歳で独立して苦労したあの経験も、今になって世の中を見るときの一つの物差しになっている気がします。

失敗した経験が、こんなところで役に立つとは思っていませんでした(笑)。

これからも、ニュースを自分の立場からだけでなく、その向こうにいる人たちのことも少し想像しながら見ていきたい。

今回、そんなことを感じました。


※2026年10月9日時点の情報をもとに執筆しています。飲食料品の消費税率を2027年4月から2年間、1%に引き下げる方針が示されていますが、関連法案はまだ成立していません。今後の国会審議などによって内容が変わる可能性があります。